TWIM

ザ・ワールド・イズ・マイン』(The World Is Mine)は、新井英樹の漫画作品。週刊ヤングサンデーに1997年~2001年まで連載された。略称TWIM。
 
読了記念感想文。
激しいエログロ描写が気持ち悪くてページをめくる手は重かったです。高校の時に寄生獣を読んで二次元のグロ耐性はあったのですが感覚が麻痺するまでの途方もないグロ描写は読む人を選びます。
 
オオカミにでも育てられたのかなって感じの話の通じない人間離れした主人公が呼吸するように理由もなく人殺しをしていくのだけど、そこに惚れ込んで神みたいに崇める凡人の少年が毒されて同じように人を殺せるようになっていく。
凡庸な彼の存在はハチャメチャに展開していくストーリーの中で唯一、読者の脳みその「普通」を肯定してくれる。
レイプ・殺人・死体バラし・拉致・宗教・セックス・セックス・セックス ってここまで汚く表現する必要あったのか問いたくなるくらい吹っ切れてて、そこが賛否両論の分かれ目なのだと思う。
リアルには起こり得ないスケールのでかさなのだけど、緻密に描かれる人間模様とか大小様々なドラマがあってそのスケール感もなんか受け入れてしまったな。
ウルトラマンの怪獣レベルの巨大なクマが街を壊滅させていく様子とか多分冷静に読んだら「は?」って感じなんだけど、道徳的なエピソードがいつも側に寄り添ってるのでちゃんと読めた。でも読者を無視して暴走してくキャラクターに苛立つ時もあるので読むのに根気が要ります
 
あとはなんだろう。
たくさんたくさんいろんなものが盛り込まれているので読む人によってやっぱり感想は全然違うはず。どの登場人物も主観で別エピソードが書けそうな濃いキャラクターばかりで、そのどれもが現実世界の誰かさんのメタファーみたいでいろいろな思いが重なる。
 
倫理とか道徳とか世の中の不条理さとかを提議して読者に問いかけてる感はあるけど、答えは自分で探してください。って言ってるように感じた。
 
作者の言葉遣いのセンスが好きだな。どのページにもメモして保存しときたいくらいドスの効いた言葉が散りばめられてて、よくこんなにも秀逸なフレーズ思いつくなぁと思いながら読んでいた。
 
あと個人的には性欲減退するのでオナ禁したい人は読めばいいのでは(雑な勧め方)。性交渉がとても汚くて吐き気のするほど浅はかな行為に思えてくるので死にたさに拍車がかかるかもしれん。
 
私は高2のときにおやすみプンプンを読んで「これは私の漫画だ!ここが私の居場所だ!」って嬉しかったのだけど、ザワールドイズマインを読んだら頭を鈍器で殴られたみたいな衝撃があってプンプンはどこかに消えてしまった。浅野いにお大好きだけど、彼の漫画は適度なオシャレ感が中途半端なサブカル層を刺激してファッション的に消費されているのでもはや「手軽にサブカルぶれるオシャレアイコン」になってしまったと思う。私は大好きなのだけど、よくわからないオシャレな人たちが読んでいると「本当に良さを分かってくれてるのかな」って思う。そんな私も中途半端なサブカル層なのですが。
 
ネタバレを避けて感想書こうとすると難しいです。しかも話それた。漫画の感想文はたのしい。
 
漫画を借りると返す際に「どうだった?」と聞かれるけど、瞬発力がないからその場で感想が言えない。詳細な感想が欲しい場合は原稿用紙で枚数を指定してもらえれば提出しますので仰って下さい。
 
 
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クマァ(^・(エ)・^)
 
無邪気にきらきらした目で人をおもちゃみたいに殺していくという点ではモンもヒグマドンも共通している。私は動物好きなこともあって終始ヒグマドンを贔屓目に読んでたな。かわいいんだもん。