ヒトラーユーゲント

ゼミで発表があった。しっかり調べてあって突っ込みようのないほど素晴らしい出来の発表だった。

だいたい4年次生が中心になってその発表から派生した疑問や感想をぶつけ合う時間があるのだけど、そこで私はなかなか手が挙げられない。毎回レジュメには小さくメモを取りあとで質問ができるように用意はするのだけど、手が挙げられない。ゼミの中で客観的に見た私の立場は「物静かで影の薄い人」だ。こんなところでガツガツ意見を出す勇気がない。そもそも浅い知識しかない私が質問して逆に深く考えた回答が得られた際にそのリアクションをうまくとる自信がない。自分の頭の悪さを露呈して終わりだ。私は自分の保身のために手を挙げられないのだ。なんて愚かなのでしょう。

バンド内でも「内気で静かであまり意見を言わない人」になっている。行動を起こすのが怖くて何もできない人になってしまった。「私がこんなことを言ってなんになるんだろう」と思ってしまって身動きがとれない状態。毎日嘘ばっかりついている。がんばってるふりが得意になったかも。

卒論を早く殺したい。バイトするのやっぱりやめようかな。卒論が立ちはだかっているせいで、どんなに楽しいことがあっても一瞬で現実に引き戻される。


特に「これを研究しました!」と胸を張って言えることを大学で学んだ記憶がない。すっからかんだ。こんなんで社会に放り出されてやっていけるのかな。生まれてこのかた本気で「がんばった」ことがない気がするよ。
悲しい気持ちになった。
人より劣ってることを気にしてすぐに死にたくなる。生きるのも死ぬのも面倒だ。高みを目指して鎬を削るような意識は皆無だ。てきとうにやってぬるま湯の中でなんとなく生きていたい。

優れた人とつるむと自分と比較してしまって死にたくなる。

でも周りの人はたいてい私より優れているので誰といても泣きたくなる。

私より細いとか私よりお洒落とか私より頭がいいとか私より面白いとか私よりセンスが良いとかぱっちりした二重まぶたとか欲しかったあの靴を履いてるとかなんでもかんでも羨ましくて死にたくなる。卑屈すぎて自分に疲れる。