なんでここにきたのか

こっちに来てからたまに思い出す。私が日本で実家暮らししていてどれだけズボラな生活をしてたか。

両親は共働きでおばあちゃんが家事をしてて、お金には困らずこたつで寝てれば勝手にごはんが出てきた。

自室は本当に足の踏み場がないほど汚くて趣味のもので溢れかえっていて、掃除の仕方も分からなくて物だらけの部屋でゲームして漫画読んで毎週映画館に行ってライブに行ってお酒を飲んで遊んでいた。

会社員時代はとにかく毎日退屈でいかに仕事してるふりをしながら時間が過ぎるのをじっと待っているか、みたいな感じだった。

 

私は英語がわりと話せるのでとりあえず英語圏に行けば仕事なんてサクッと見つかってすぐに安定した生活ができるだろうと思っていた。

そしたらまぁ履歴書を書いて、学校の先生に添削してもらって、完璧、あとは配り歩くだけ、ってところでなかなかお店に出向いて履歴書を手渡すことができない。いきなり何のアポもなく「マネージャーいますか?仕事探してるんですけどお話できますか?」って殴り込みにいくスタイルが本当に怖くて難しかった。

結局、日本人が受かりやすそうな日本食屋さんとか、学生時代にバイト経験のあるコンビニとか居酒屋とかを回った。Hiring! Staff wanted!とか張り紙のあるところしか声をかける勇気が無くて、全部で10枚も配れただろうか?一桁かもしれない。すごい子は1日に30枚は配って100件近く回ったとかいう超人もいたなぁ。

 

やっとバイト面接の電話がかかってきても、相手がイギリス英語・早口のアイリッシュ英語だったりすると全然聞き取れない。アメリカ英語には慣れてるけどこっちの英語の発音に慣れるまで時間がかかった。電話は超こわかった。

シェアハウスの子たちのアドバイスで、電話が聞き取れない場合は「今ちょっと忙しいんで後でメッセージもらえますか?」で切りぬけろ!というのを教わった。みんなも困ったら使ってみて。笑

 

着いて早々に仕事を見つけられるとタカをくくってたので正直お金をそんなに持ってきておらず、最初はもう臓器を売るか体を売るかしかないと思ってちょっと検索してしまった。まぁそんな闇の仕事うまく見つからなかったし、見つからなくてよかった。

 

そしたら今親友とも言える友達ができて、アマンダとルーカスとパウロアイルランドの生活について困ったことがあったらいつも助けてくれた。

 

外国人登録やPPSナンバーがまだ取れてなくてもできる仕事とかを教えてくれて、ちまちまお金を稼いで食いつないでいた。

最初はお掃除のバイトで、前にも書いたけど本当にきつかった。マジで掃除が嫌いでやり方も全然分からないのに、相手はプロが来ると思ってかなりの内容を押し付けて来るから泣きそうになることもあった。

 

なんで時間内にできないの?なんでここが終わってないの?遅すぎるんだけど?って言われて怖くて、謝って、タダで時間延長して、それでも文句言われて半額に値切られて、5時間近く掃除して2時間分のお給料しかもらえなかった時がきつかった。

 

でもそんなこんなで掃除に慣れた。笑

トイレ掃除もお風呂掃除もキッチンもフロア磨きも窓ふきも、ハァハァ言いながらもうまくできるようになった。

初めて「上手だね!」って言われてもらえたチップが超うれしかった。

 

アイルランド人はフレンドリーで優しいよ!って聞いてたけど、お客さんに何度も怒られて、アイルランド人がフレンドリーなんて全然信じられなかった。アイルランドこわい早く帰りたいって最初はずっと思ってた。

 

で、今のバイト先 おすしやさん

10月から始めたのでもうすぐ2ヶ月経とうとしている

ユニフォームの着方とか掃除とかかなり徹底して厳しくて、こんな厳しいバイト日本で経験したことがなくて本当に戸惑った。

最低賃金で働かせといてこんなことまで要求するの?!?!と思ってかなりイライラしながら働いてたけど、少しずつ慣れてきて余裕でできるようになってきた。

ここでも本当に毎日毎日怒られて気が滅入っているけど、掃除がちゃんとしてない テキトーな汚い職場よりも全然良いと思えるように、なってきた、たぶん

 

ほんの小さな水滴ひとつでも落としたらすぐに拭けって言われたり、テーブルや椅子だけじゃなく床も壁も窓も、トイレは便座の隅々まで抱きかかえるようにしてピカピカに磨かされ、あらゆるスペースを完全に吹き上げないと帰れない

毎日先輩にチェックされて、「ここ指紋残ってる、吹いて」って言われて

こんなのお客さんも見えないよなんでこんなに厳しいんだよって苦しい泣きそうな気持ちで毎日床をこすっていたけど

まぁそのおかげで日本にいたときのズボラな私からは想像できないくらいちゃんと掃除をするクセがついて、家でも食事をしたら5分以内に食器を洗ったり、シャワーを浴びたら一通り壁を流してシャンプーの裏をツルツルにして排水溝の髪をすくい取って捨てて、毎日綺麗に生活できるようになった。

 

あとはダブリンバス

これが本当にひどくて、日本じゃ考えられないほどぐちゃぐちゃに来る

一応時刻表はあるけど、そんなの目安でしかなくて 時間より前に着いても勝手に出発するし、電光掲示板で「あと2分」って書いてあっても15分後に来たりするし、マジで訳が分からなくてこれに振り回されて学校やバイトに遅刻するパターンが多い。

 

だから本当は20分もあれば着けるはずのバイト先にも、1時間前には家を出て超余裕を持って到着するようになった。

 

私はなぜアイルランドに来たのか。本当のところは自分でもよくわからないし、こっちで知り合ったひとたちにその質問をよく聞かれるけど 別に英語の勉強に来た訳でもないし、なんなんだろう、日本の生活に疲れてリラックスしに来ました〜 ヨーロッパ旅行たくさんして満喫します!とか答えてたしそれもそうなんだけど、、

実際私がここに来た理由で最近思うのは、大人になる修行をしにきたって感じがする。

掃除洗濯料理仕事 いろいろこなしてやっと大人の人間に近づいている気がする

今まで本気でまだ8歳ぐらいの気持ちだった

はなくそほじってアイス食べてこたつで寝ながらゲームしてた

やっと本当の27歳になれたのでは?という実感がある

 

正直、帰国子女という免罪符のおかげで受験というものを経験したことがない。就活も身が入らず、結局親のコネでサクッと自動車メーカーに入社してしまったし。

これまでの人生で地獄のように苦しんでなにか手に入れたことってあったっけ?と思う。今がそれなんじゃないかと。

そんな後付けの理由で、アイルランドに来た意味を考えてみただけのお話

 

あまちゃんすぎてなんでもすぐ嫌になって辞めてしまうんだけど、アイルランドワーホリだけは諦めず一年間貫いてみようという気持ちがある。別になにか人間的に成長しようとか大きな目標がある訳じゃない。暇だから来てみただけ。それだけかも。実際それでもいいんじゃない?